私たちは環境への順応性があるから、部屋の明るさと療養環境は関係がないと思われるかもしれないが、本来は与えられた環境をその日の体調に合わせて調整出来ることが好ましいはずである。ただでさえ入院患者はベッドの上に1日中留まるという制約があるのだから、環境を通じて心を開放する手立てを考えなければならない。
長期間入院された経験のある方であればお分かりと思うが、夕方日が陰ってくると、なんとなく陰鬱な気持ちになる。雨の日もそうだ。朝になればカーテンを開けて、日光を取り入れたい。要は自分の気持ちに合わせて選びとれる建築・設備環境が療養にとって大切なのだ。カーテンで閉め切ったベッドで1日を過ごすことにより、日照時間が短くなる地域に出現しやすいと言われる「季節性うつ病」のような心の状態を発生してしまうと思うのは杞憂であろうか。穏やかな光や空気は私たちの心と体を癒す大切な要素であると思う。
4床室の場合、廊下側のベッドも自然光を取り入れるための配慮が必要である。しかしながら現状では、ほとんどの病院でプライバシーを求めるため、患者はベッド廻りのカーテンを閉じている。当然、日中廊下側のベッドに入る自然光は相当低減される。個室的多床室と呼ばれる凸型の平面形で奥のベッドの脇にも窓を配置する設計もあるが、やや複雑な形態となる。そこで光を取り入れたい窓側の方向である隣のベッドとの間をカーテンで仕切るのではなく、立ち上がった位置で目線が届かない固定家具で仕切るという方法がある。例えば病室の天井の高さが2.5mあるとして、仕切り家具の高さを1.6mとすれば、0.9mの高さの開かれた空間が生まれ、そこから自然光を取り入れることができるのである。
明かりというテーマはそれが自然光であれ人工照明であれ、明るければ良いのではなく、どのようにコントロールするかが重要である。夜間は消燈までの間、病室の照明を一定の明るさに維持するより、時間帯によって明るさが変化してゆく方が良い。睡眠に入る直前まで通常の明るさで、突然消燈するというのでは心に違和感が残り、なかなか睡眠に入ってゆけない。微妙に照度を変化させることは困難としても、せめて2段階ぐらいの照度設定は出来ないものか。一般に病室の照度は500ルックス(日本医療福祉設備協会の推奨値)とされる。これは通常の医療・看護行為に対応する照度であり(場合により処置灯を点灯)、突然消燈されることに違和感を感じることと思う。
例えば夜間、夕食後の19:00から21:00までの2時間を200ルックス程度に落として、その後消燈に入るというように、病室の照度を変化させる病棟運営を提案をしたい。調節の方法を自動化するか、ナースステーションで集中管理するかは運営次第であるが、消灯時間が入院患者全体に対する強制とすれば、睡眠に入るまでの照度にも配慮が必要であろう。照明は温かみのある色合いが望ましい。照度の低い2時間の間に読書をするというのであれば、読書灯を使えば良い。緊急時に特定の病床の照度を上げる仕組みを用意しておくことは言うまでもない。一日を通じて適切にコントロールできる光環境を整備することは、建築や設備が療養環境の向上に資する大切なテーマであると考える。
長期間入院された経験のある方であればお分かりと思うが、夕方日が陰ってくると、なんとなく陰鬱な気持ちになる。雨の日もそうだ。朝になればカーテンを開けて、日光を取り入れたい。要は自分の気持ちに合わせて選びとれる建築・設備環境が療養にとって大切なのだ。カーテンで閉め切ったベッドで1日を過ごすことにより、日照時間が短くなる地域に出現しやすいと言われる「季節性うつ病」のような心の状態を発生してしまうと思うのは杞憂であろうか。穏やかな光や空気は私たちの心と体を癒す大切な要素であると思う。
4床室の場合、廊下側のベッドも自然光を取り入れるための配慮が必要である。しかしながら現状では、ほとんどの病院でプライバシーを求めるため、患者はベッド廻りのカーテンを閉じている。当然、日中廊下側のベッドに入る自然光は相当低減される。個室的多床室と呼ばれる凸型の平面形で奥のベッドの脇にも窓を配置する設計もあるが、やや複雑な形態となる。そこで光を取り入れたい窓側の方向である隣のベッドとの間をカーテンで仕切るのではなく、立ち上がった位置で目線が届かない固定家具で仕切るという方法がある。例えば病室の天井の高さが2.5mあるとして、仕切り家具の高さを1.6mとすれば、0.9mの高さの開かれた空間が生まれ、そこから自然光を取り入れることができるのである。
明かりというテーマはそれが自然光であれ人工照明であれ、明るければ良いのではなく、どのようにコントロールするかが重要である。夜間は消燈までの間、病室の照明を一定の明るさに維持するより、時間帯によって明るさが変化してゆく方が良い。睡眠に入る直前まで通常の明るさで、突然消燈するというのでは心に違和感が残り、なかなか睡眠に入ってゆけない。微妙に照度を変化させることは困難としても、せめて2段階ぐらいの照度設定は出来ないものか。一般に病室の照度は500ルックス(日本医療福祉設備協会の推奨値)とされる。これは通常の医療・看護行為に対応する照度であり(場合により処置灯を点灯)、突然消燈されることに違和感を感じることと思う。
例えば夜間、夕食後の19:00から21:00までの2時間を200ルックス程度に落として、その後消燈に入るというように、病室の照度を変化させる病棟運営を提案をしたい。調節の方法を自動化するか、ナースステーションで集中管理するかは運営次第であるが、消灯時間が入院患者全体に対する強制とすれば、睡眠に入るまでの照度にも配慮が必要であろう。照明は温かみのある色合いが望ましい。照度の低い2時間の間に読書をするというのであれば、読書灯を使えば良い。緊急時に特定の病床の照度を上げる仕組みを用意しておくことは言うまでもない。一日を通じて適切にコントロールできる光環境を整備することは、建築や設備が療養環境の向上に資する大切なテーマであると考える。
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